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第14回 医療現場におけるばね

みなさん、こんにちは。
今年もよろしくお願い致します。
寒いですね~、今年の冬は。昨年の夏はとても暑く、この冬は寒いので、今年のスギ花粉は、例年の2倍から3倍の量が飛ぶそうです。1月でも、少しずつスギ花粉は飛んでいるそうですね。スギ花粉アレルギの人は、お気をつけください。

目に見えないほど小さなスギ花粉ですが、人体には大きな影響を与えます(スギ花粉症の人にとって)。人体は、不思議ですね~。

今回は、人体(医療)に利用されるばねについてお話します。

近年、血管内治療を大きく進歩させたのがカテーテルやステント技術です。最新の医療現場においても当社の「弾性体微細加工技術」が活かされているんです。

日本は高齢化社会を迎えています。そこで、ご高齢な患者さん用に、体力が低下した人にとって特に有効な、「患者に優しい」治療方法が求められています。そのためには、「手術を必要としない、カテーテルを用いた血管内治療」や「内視鏡を使った手技」がトレンドとなっています。


患部に固定でき、なおかつ滑りのいい ”ばね”

スパイラルカテーテル

パイオラックスメディカルデバイスが開発したスパイラルカテーテルの先端には、螺旋(スパイラル)形状にした形状記憶合金が装着されています。患部の近くにこの先端を運び、カテーテル先端を血管壁に固定します。抗癌剤等の強い薬剤は患部だけを狙って正確に投与しなければなりません。このユニークなスパイラルカテーテルの特徴は、肝癌等の化学療法で高い評価を得ています。

また、スパイラルカテーテルには、弊社が独自に開発したコーティング技術が利用されています。このコーティングは、生理食塩水や血液に触れると、優れた滑り性を発揮し、カテーテルが患部まで容易に到達できます。また、工業的に合成された原料を使用していますので、生物由来のコーティングと違い、感染症(狂牛病,各種ウイルス)の恐れが無く、安全に使用することができます。


内側から広げて体を良くする ”ばね”

ステント

ステントは、血管、気管、消化管等が癌細胞などによって狭窄(きょうさく)した部分を押し広げます。血液、空気、消化液等の流れを改善する体内留置器具です。

パイオラックスメディカルデバイスのステントは形状記憶合金を微細加工し、デリバリーシステムの先端に取り付けます。径2.3mmの鞘【シース】にコンパクトに収めます。内視鏡等を使用して患部(狭窄部)までステントを運び、シースを外すと元の径(6-10mm)に戻り、狭窄部が広がります。

ステンレス、形状記憶合金(Ni-Ti)、合成樹脂については、自動車用部品と同様に、厳選した素材が使われています。

さて、今回はここまでです。
驚きですね。私たちの体を治療する器具にもばねは利用されているんですね。
でも健康が一番です。

次回は、スポーツとばねについてお話します(今年はオリンピックが開催されますので)。

【お詫び】
次回のテーマは、「セキュリティ分野におけるばね」に変更となりました。
スポーツとばねについてはその次の回(オリンピック直前)に延期させていただきました。お楽しみに!

それでは、みなさん、お元気で!

ばねっこ(筆)